はっ!!!!
何だ今のは…

「気がついたか?」

俺は黒い液体を飲んだ瞬間倒れたらしい。
ウィックが闇の兵舎の中で横に寝かせてくれていたみたいだ。

「私が飲んでも意識を失うような事はなかったんだけどな…。それよりも、かなりうなされてたぞ。何か夢でも見たのか?」

ウィックに、今見ていた夢を細かく説明した。

俺が捨て駒として扱われていた事や、チーフが強引に敵の村に連れだそうとしていた事。


「なるほど…それはもしかすると…」


ウィックは昔、俺のチーフの元で戦っていたんだそうだ。
その時のチーフはバーバリアンの扱いが凄く荒かったんだと。
バーバリアンを使って大砲がバーバリアンを殺しにかかってる時に壁を爆発したり、バーバリアン一人でウィザードが8人もいる所に向かわせたり、自分が先陣を切った瞬間にチーフ達が撤退したり。
いつもバーバリアンを出陣させるときのチーフの言葉が今でも焼き付いてるんだと。

「ババからの。」

この言葉を聞くと鳥肌が立ってしまうようになったらしい。そのせいで多くのバーバリアンが犠牲になったから。

「私がこんな村から離れた所で研究をしているのも、あのマルクっていうチーフがバーバリアンを雑に扱っていたからなんだ。」

と、ウィックは言う。

なら何故今は俺を雑に扱うどころか見向きもしないのか。

「それは今だけだ。あいつは今空から爆弾を投げる戦いに夢中だからだと思う。それに飽きたら奴は…」

もういい。充分だ。
もう、何も言うな。



雑に扱われていた夢が出てくるのは、先祖の記憶だからだろうか。
エリクサーで作られた生物は死んだ先祖の記憶も共有する。とウィックは言っていた。

俺の先祖はこの村のチーフに…


タウンホールに乗り込む。
ここにマルクが居る。

「よう。リアン。」
チーフのマルクが俺に気づく。

「こんな夜遅くにここへ何しに来たんだ?」

聞きたい事がある。

ウィックから聞いた話が事実か、もしそうならなぜそういう扱い方をしたのか。


「そうだよ。本当だよ。なぜかって?それはだな…」



「お前らみたいな一人じゃ大砲の一つも壊せない奴に見せ場を作ってあげてんだよ。」

それを聞いた途端、身体が勝手に動いた。
背後に回って持っていた剣をチーフの喉元に当てていた。

「俺を殺すのかい?ふんっ。そんな事出来る訳がない。」

やってみないとわからないだろう?

「やってみても同じ事だ。なぜなら。」

ひゅっとチーフの姿が見えなくなったと思うと俺の持っていた剣を落とされ、地面にねじ伏せられた。
なんて力だ…!?

「バーバリアンは所詮囮役に過ぎない。巨大爆弾に耐えられる?ウィザードの攻撃に耐えられる?バルーンやドラゴンを倒せる?いくら頑張っても君らはせいぜい端っこにある大工の小屋を壊すだけ。」

そんなはずがない。誰よりも訓練をして、誰よりも筋肉を鍛え、誰よりも武器のメンテナンスをした。そんなに努力しても何が足りないと言うんだ?

「全てだよ。」

…!?

「生物は皆役割を持って生きてくるんだ。君は何の為に生まれてきたか知りたいんだろう?囮役として生まれてきてるって事だよ。それでいいかい。」

俺は囮役…

囮役…



オれハすテ駒…?

「なんだこれは?」

うまく口が回らない。身体が熱い。



俺の身体が段々と大きくなってくる。
チーフよりも、ジャイアントよりも大きくなってくる。
あ、あの黒い液体が欲しい…!!!

「お前!まさかあのダークエリクサーを!」

ダークエリクサー?
あの黒い液体はダークエリクサーと言うのか…

ああ、くそう…意識が…





その日はまるでゴジラが来たかのような村の荒れようだった。
リアンは巨大化し、マルクを踏み潰して村にあるものめちゃくちゃにした。


それを村の外れから見ていたウィックはフッと笑い、こう言い残して姿を消していった。


「ババからの、ビレッジブレイカー。」